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2024年02月10日

放置はNG!トラブルを繰り返す迷惑な入居者を退去させるには?

家賃滞納、騒音、ペット禁止物件でのペット飼育など、賃貸物件では様々なトラブルが発生する可能性があります。オーナーさんや管理会社が一度注意をして収まればそれ以上問題ありませんが、中には何度注意をしてもトラブルを繰り返す悪質な迷惑入居者が一定数いるものです。

それでは、そういった迷惑入居者にはどのように対応していけばよいのでしょうか。この記事では、迷惑入居者を放置することのリスクを踏まえたうえで、強制退去させる方法について解説していきます。

1.迷惑入居者を放置することのリスク

賃貸物件に住むのは必ずしも質の良い入居者だけとは限りません。賃貸経営をしていると、質の悪い入居者に遭遇してしまうこともあります。できればあまり相手にはしたくないところですが、トラブルを繰り返す迷惑な入居者を放置してしまうと賃貸経営に大きなリスクが発生してしまいます。

以下のようなリスクが発生しないように、迷惑入居者に対してしっかりと対応することが必要です。 

1-1.住環境が悪化してしまう

悪質な迷惑入居者を放置していると、物件や近隣の住環境が悪化してしまいます。

例えば、よくある入居者のトラブルとして騒音トラブルが挙げられます。大音量で音楽をかけたり、大声で話したり、怒鳴り声をあげたりといった騒音が、深夜や早朝にもかかわらず物件内に響き渡ると、他の入居者や近隣住民の生活に支障をきたします。そういったトラブルを起こす迷惑な入居者が一人いるだけで、他の入居者や近隣住民にとっては劣悪な住環境になってしまいます。

また、悪質な入居者を放置していると、「他の人が入居マナーを守っていなくて注意もされないのだから、自分も入居マナーを守らなくていい」と思う入居者が出てきてもおかしくありません。そうなると、悪質な入居者が連鎖的に増えていき、さらに住環境が悪化していくという、悪循環に陥ってしまいます。

悪質な入居者を放置することで、住環境が悪化し、他の入居者にとっては住みづらい物件になってしまうのです。

1-2.他の入居者が退去してしまう

住環境が悪化し、安心して快適に住むことができない状況が改善されないまま日常化してしまうと、我慢を強いられた他の入居者は耐えられなくなってしまい、退去してしまう可能性があります。そして、質の良い入居者が次々といなくなり、質の悪い迷惑な入居者だけが残ってしまうということにもなりかねません。

入居者が退去してしまうと、新たに入居者募集を始めなくてはならない上に、次の入居者がすぐに決まるとも限りません。また新しい入居者が決まっても、結局その入居者も迷惑入居者が原因ですぐに退去してしまう可能性があります。

トラブルを繰り返す迷惑入居者を放置することで、賃貸経営にとって深刻な空室リスクを抱えてしまう可能性があるのです。

1-3.キャッシュフローが悪化してしまう

賃貸経営では、入居者が常にいれば安定した家賃収入を得られます。

しかし、迷惑入居者が原因で他の入居者が相次いで退去してしまうと、次の入居者が決まるまでの空室期間中は家賃収入を得られず、入居者募集のための費用も発生するため、キャッシュフローが悪化してしまいます。

また、悪質な入居者が起こすトラブルの一つとして家賃の滞納も挙げられますが、家賃の滞納が長期化することでもキャッシュフローは悪化してしまいます。金融機関からのローンで収益物件を購入した場合、家賃滞納が長期化してしまうと毎月の返済に充てる家賃収入が入ってこなくなるため、賃貸経営が破綻することにもなりかねません。

他の入居者に迷惑をかけたり、家賃を滞納したりするなどのトラブルを繰り返す悪質な入居者を放置していると、キャッシュフローが円滑に回らなくなり、安定した賃貸経営が難しくなります。

2.入居者を退去させることのできる主な理由

賃貸借契約を解除し、入居者を強制退去させるには、正当な理由が必要です。老朽化した建物を取り壊す場合などのやむを得ない理由に加えて、賃貸借契約における債務不履行の場合や、入居者が賃貸借契約書で禁止事項や契約解除事由として定められた行為を行い、賃貸借契約に違反している場合なども正当な理由に当たります。

禁止事項に該当する行為は賃貸借契約書の内容にもよりますが、強制的に退去させることのできる主な理由として、一般的には次のようなケースが挙げられます。 

2-1.長期にわたる家賃滞納

一般的に3ヵ月以上の長期間にわたる家賃滞納がある入居者については、家賃支払いの催告を行っても家賃を支払う意思が見られない場合、強制退去の理由となります。

2-2.騒音トラブル

 
入居者による迷惑行為の代表例として騒音トラブルが挙げられます。騒音トラブルを起こす入居者に対して、何回注意しても騒音が収まらない場合や、他の入居者や近隣住民から多くのクレームが寄せられるほどの騒音である場合などは、強制退去を要求できる可能性があります。

2-3.ペットの無断飼育

ペット禁止物件であるにもかかわらずペットを無断飼育することは契約違反となります。室内でペット飼育をすることによって、居室の汚損破損やペット特有の臭い、鳴き声による騒音などの様々な問題が発生します。ペットの無断飼育は、部屋の汚損破損などによる物件価値の低下を招き、他の入居者や近隣住民とのトラブルにもつながるため、契約違反として賃貸借契約を解除し、強制退去を要求できるでしょう。

2-4.悪臭や害虫のトラブル

 
ゴミ屋敷のような状態になって 悪臭や害虫が発生している場合は、他の入居者や近隣住民の迷惑行為となるため、退去を要求できます。ゴミ屋敷は悪臭や害虫だけでなく、犯罪や火災事故やトラブルの温床になる恐れがあるため、住環境を悪化させる深刻な問題となります

2-5.無断転貸

無断転貸は民法において禁止されており、賃貸借契約書でも無断転貸の禁止が通常定められています。契約で決められた人物以外を住まわせる転貸は契約違反であるため、強制退去の理由となります。

3.迷惑入居者を強制退去させる方法

ここからはトラブルを繰り返す迷惑入居者を強制退去させる方法をお伝えします。

3-1.まずは話し合いと交渉を持ちかける

まずは、迷惑入居者に対して、賃貸借契約を解除し、退去してもらうように話し合いを持ちかけましょう。貸主側から借主に対して解約を求めるには、解約日の6ヶ月前までに通告する必要があります。

入居者が退去を拒否するようであれば、立退料の支払いを条件に退去してもらうように交渉を持ちかけるという方法もあります。

入居者がそのような話し合いや交渉にも応じない場合は、強制退去も視野に入れて対応する必要が生じてきます。

3-2.強制退去させる際の注意点

 
入居者に問題があったとしても、オーナーさんが法的手続きを取らずに、勝手に家財道具を搬出・処分したり、鍵を交換したりといった強硬手段を取るのは絶対にNGです。そういった強硬手段を取ってしまうと自力救済と見なされ、オーナーさんが罪に問われることになり、逆に入居者に訴えられてしまうこともあるので注意が必要です。

3-3.強制退去させる条件

家賃の滞納や契約違反を理由に強制退去を行うには、借主と貸主の信頼関係が破壊された状態であることが条件となります。督促に応じず3ヶ月以上の長期間にわたって家賃を滞納した場合や、何度注意をしても迷惑行為の改善が見られない場合は、信頼関係が破壊されたと認められるでしょう。

3-4.強制退去の手順

強制退去させるには以下の手順を踏むことになります。

①内容証明郵便にて契約解除通知を送付

注意や勧告を行ってもトラブルが解消されない場合には、内容証明郵便にて、問題の改善を要求する旨と、それに従わない場合には賃貸借契約を解除する旨の内容を記載した書面を送付します。内容証明郵便による勧告を行っても問題が改善されない場合には、賃貸借契約解除の法的効果が発生します。

②明け渡しの請求訴訟の提起
 
賃貸借契約の解除を行った後は、部屋の明け渡しの請求訴訟を提起します。裁判前に和解調停を行うことができますが、和解不成立の場合には裁判による判決が下されます。
③強制退去の執行
明け渡し請求訴訟にて強制退去の判決が下ったら、裁判所の執行官によって部屋の中の荷物などが撤去され、入居者の強制退去が行われます。

3-5.強制退去にはコストがかかる

入居者を強制退去させるにはそれなりのコストがかかることも押さえておく必要があります。弁護士費用として70万円~90万円ほど、裁判所への予納金として6万円ほど、荷物の撤去費用として30万円以上を目安にかかると言われています。

強制退去にかかった費用は入居者に請求することができますが、弁護士費用は請求できない点と、強制退去となった入居者に請求しても費用を支払えない場合がある点には注意が必要です。

4.悪質な入居者によるトラブルを未然に防ぐ方法

悪質入居者への対処にコストと時間を取られないためには、悪質入居者によるトラブルを未然に防ぐこともまた必要です。最後にそのためのポイントについて見ていきましょう。

4-1.入居審査をしっかりと行う

入居審査の段階で、トラブルを起こしそうな人物かどうかをしっかりと判断し、そのような人物は入居させないようにしましょう。

入居審査では、年収と家賃とのバランスから家賃の支払能力があるかどうか、勤務先や転居理由に不審な点はないかなど、入居申込の内容を細かくチェックします。

トラブルを起こしそうな人物の入居を未然に防ぐためにも、管理会社とも相談して入居審査をしっかりと行うことが重要です。

4-2.賃貸借契約書に禁止事項や特約を盛り込む

 
入居後のトラブルを未然に防ぐために、賃貸借契約書に禁止事項や特約を盛り込んでおくのも重要です。

賃貸借契約書に盛り込んでおきたい内容としては、原状回復やクリーニングに関する事項、ペットの禁止に関する事項、騒音や悪臭に関する事項、近隣住民や他の入居者とのトラブルに関する事項など挙げられます。

賃貸借契約書に盛り込む内容については、管理会社にも相談しながら決めましょう。

4-3.保証会社

しっかりと入居審査を行っても入居後にトラブルを起こす入居者はいます。その場合のリスクを最小限に抑えるために、賃貸借契約締結の際は、必ず家賃保証会社や連帯保証人を付けることが必要です。家賃の滞納があっても、家賃保証会社や連帯保証人に家賃を立て替え払いしてもらうことができます。特に近年では、連帯保証人の代わりに家賃保証会社を付けることが主流となってきていますので、ぜひ利用しましょう。

5.まとめ

今回の記事では、迷惑入居者を放置することのリスクと、強制退去させる方法について解説しました。賃貸経営を円滑に行うためにも、トラブルを繰り返す入居者がいたら放置するのではなく、管理会社とも相談しながら、最終的には強制退去も視野に入れた迅速な対応を心がけるようにしましょう。

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